バスSOSボタンの概要
園児がバスで閉じ込められてしまった時に、車内のドアにつけたSOSボタンを押すとスマホ(電話)にメールなどでSOSを通知します。
開発の背景
私は園児を持つエンジニアです。幼稚園のバス置き去り事件を考えると人ごととは思えず心がいたくなります。
この問題は、幼稚園の単なるミス(ヒューマンエラー)ではなく、どこで発生してもおかしくない日本の社会的な問題です。
なぜなら、日本には幼稚園が50000校(保育園9121校、保育園29474校、こども園が8585校)と学校数が非常に多く、それにも関わらずスクールバスに関する法律や安全対策のされたバスはほとんどありません。
アメリカのスクールバスのyoutubeを見ると、置き去り防止システム(kill button)以外にもバス自体にいくつもの安全対策がされていることに驚かされ、日本はアメリカに比べかなり遅れていると感じます。
日本の法整備がされ、アメリカの様な安全対策のされたバスが全国に導入されるまでには時間がかかります。それまでの間、ITを使って低コストで先生の手間をかけずになんとかこの問題を解決できなかと思い今回のシステムを考えました。
人が2重3重のチェックをしても手間が増えるだけでヒューマンエラーは必ず発生します。一方で、高価なシステムを導入しただけで解決できるものではありませんし、完全なシステムというものはありません。園の特徴に合わせた施策や費用対効果の高いシステムを組み合わせて使うことが重要だと考えています。
その対策の選択筋の1つになり、二度と同じ様な事件が発生しないことを祈っています。
1.設定
ボタンの裏のQRコードをスマホで読み込むと設定画面が開きます。
2.SOSボタンデバイスによる通報
電池が内蔵されたIOTボタンです。園児でも分かるようにシールを作成して貼りました。バスの降り口に両面テープで貼り付けるだけです。
3. メールの受信(1次通報)
SOSボタンが押されると、登録されたメールアドレスにメールやSMS(ショートメッセージ)が送信されます。1次通報でバスの運転手は、バスを確認することができます。
4. 電話による通知(2次通報)
1次通報の3分後に、登録していた電話番号(園の代表番号など)に自動音声の電話がかかってきます。「バスSOSボタンにおいて通報がありました。」というアナウンスが流れて電話が切れます。電話を取った先生は、バスを確認することができます。
特徴1 車の改修不要
電池(単4電池2本)で動作し、ボタンをドアの出口に両面テープで貼り付けるだけですので、車の改造は不要です。
特徴2 携帯電話網でどこからでも通知
携帯電話網(LTE-M)を使いますので、
KDDIの携帯の電波の入る場所であれば通報できます。
特徴3 電話に自動音声で通知(SMS、メールも可能)
幼稚園の代表電話に自動音声で電話をかけて通報を通知します。バス運転手や幼稚園の先生にスマホにメールやショートメッセージ(SMS)を送信することもできます。
園児が誤って押した場合は、1次通報をバス運転手が受け取り、通報取り消すことができます。取り消すことで、幼稚園の代表電話番号へ誤報を防止できます。
特徴4 耐障害性
AWS(Amazon Web Service)のサーバレスアーキテクチャを使うことで、サーバ(EC2)ダウンの心配がなくなり、シンプルで運用コストを最小で障害性の高い設計としました。
できないこと、制限事項
・KDDIキャリア網を使いますので、携帯キャリアの障害や、通報システム障害時には通報ができません。
・月に数回の通報した場合でも1年以上電池は持ちます。(メーカーは1回の電池交換で数100~1000回程度の例あり)
費用目安
以下のボタンデバイス装置と、サービスの利用料(携帯網、クラウドサービス)がかかります。
・ボタンデバイス装置: 10,000円以下を予定(初期費用)
・サービス利用料:約500円/月 (6,000円/年)を予定
・サポート費:別途お問い合わせください(利用方法は簡単ですのでサポートはほとんど不要だとは思います)
販売や実証実験について
お試し導入(実証実験)をしていただける幼稚園、販売パートナーを募集しています。
ボタンデバイス仕様
IOTボタン装置 | SORACOM LTE-M Button for Enterprise |
通信方式 | LTE Cat.M1 |
対応 | Band B26 |
サイズ | 約 97 × 33 × 14mm (厚み:フロントラベル 0.2mm 含む) |
重量 | 50g (電池含む) |
入力 | ボタン |
電池 | アルカリ単 4 電池 x 2 本 (同梱電池:LR03 (GD) 日立マクセル) |
電池交換 | 交換可能 |
防水/防塵 | -/IP4X |
サービス仕様
利用クラウドシステム | Amazon Web Service |
アーキテクチャ | サーバレスアーキテクチャ (AWS Lambdaを使用) |
1次通報の方法 | メールアドレス ※最大3アドレスまで登録可 |
SMS(ショートメール) ※最大3電話番号まで登録可 |
1次通報から2次通報までの時間 | 0~3分 間違ってボタンを押した場合は、1次通報のメールに記載のURLをクリックすることで2次通報を停止できます。 |
2次通報の方法 | 電話(自動音声) 登録された電話番号に発信を行い「こちらはバスSOS自動音声サービスです。バスでSOSボタンが押されましチア。バスを確認してください。」という自動音声の後、電話を切断します ※最大1電話番号まで登録可 |